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『光の指で触れよ』   池澤 夏樹

『光の指で触れよ』   池澤 夏樹_c0156856_21284940.jpg
読了日 2月18日。

『素晴らしい新世界』を
読了してから
わずか1ヶ月での新作。
これを読まないで、
違う作品を読み耽るには
前作は素敵過ぎた。

さて、本作。
前の作品の続きとして
読むと、しっくりこない。
前作の印象に引きずられて、
こういう風にはならないのではないか?
と思ってしまうのだ。

ただ、それが逆にフィクションではなく、
現実の出来事であると強く思わせる。
人の理念・行動は一環することは難しいし、
相手が期待通りに動くことは稀だ。
こういうことではないかと思う。

もちろん一作品としてみれば、
前作に勝るとも劣らない
素晴らしい作品だと思う。
特に『変容のゲーム』という章が
とても印象に残る。
森介の妹のキノコ(可南子)の
可愛い発言や動作には和ませられた。
前作の森介もそうだが、
子供を書くのが本当に上手い作家だ。

ストーリーは、いつものごとく割愛。
自分が書くとあまりに陳腐な表現で
簡潔してしまいそうなので。

ではでは☆
# by kaworu777jp | 2008-02-22 21:47 | 小説

『赤と黒 下』   スタンダール

『赤と黒 下』   スタンダール_c0156856_1224135.jpg
読了日 2月15日。
光文社古典新訳文庫。

上巻より、物語の起伏が
欠けてしまった気がするが、
全体として大変興味深い小説。

特にソレル氏の内面の変遷が
読んでいて、とても考えさせられた。

新訳だから、というわけではなく
古典という作品が
いわゆる古びたものでないことが
実感できたのが大きな収穫。
もちろん、古びてないからこそ、
読み継がれているのだけれど。

ではでは☆
# by kaworu777jp | 2008-02-15 12:34 | 小説

『新世界より 下』   貴志 祐介

『新世界より 下』   貴志 祐介_c0156856_2136915.jpg
読了日 2月1日。

『天使の囀り』以来のファンだけど、
あんまり面白くなかった・・・。

理由
1、ミステリィとしてのトリックが普通
2、設定を複雑にしすぎている
3、上下と、これだけ長い必然性に欠ける
4、今までの作品のように魅力的な登場人物がいない
  (いても、とても短い命)

自分が一番思ったのは、
貴志さんのように、
現実の猟奇的な部分とかを
迫力をもって読ませるのが得意な人は
SF的設定だと、
良さが活きないような気がしました。

面白いと思った人ごめんなさい。
これから貴志さん読もうとする人は
『青の炎』・『天使の囀り』・『黒い家』の
どれかを読んでください♪

ではでは☆
# by kaworu777jp | 2008-02-01 21:45 | ミステリィ

『新世界より 上』   貴志 祐介

『新世界より 上』   貴志 祐介_c0156856_138653.jpg
読了日 1月30日。

うーん、上巻だけだと
なんとも判断しがたい小説だ・・・

もちろん今までの
貴志さんの作品同様
圧倒的に読ませるし、
細かい描写もさすがの一言。

ただ、まったく現実世界と違う話なので(遠い未来の話)
今までの作品とは一線を画さざるを得ない。
例えば、大雑把に言って、
大人は魔法が使えるとか、
(作中は「呪力」と表現されている)
同性愛が奨励されてるとかね。

要するに
エンターテーメントとして質が
落ちるわけではないのだけれど、
今までのホラーや倒述ミステリィを
期待して読むと
「あれ?」となるので、ご注意を。

ではでは☆
# by kaworu777jp | 2008-01-30 01:50 | ミステリィ

『すばらしい新世界』   池澤 夏樹

『すばらしい新世界』   池澤 夏樹_c0156856_1948029.jpg
読了日 1月27日。

まずは、お久しぶり。
小説読める生活に復帰しました。

新年初読書にして、相当の傑作!

文化圏の違う国外で
自分の風車の技術を活かそうとする主人公。
それを表に影に支えるアユミ(妻)。
二人の大切な森介(子)。
もう、この3人で満腹になるくらい素敵なのに、
主人公が現地で知り合う人々も素敵。
自分は、現地で知り合う日本人より
やはりチベット・ネパール人のほうが
魅力的に感じてしまった。
そのことをとっても、
この小説がいかに
リアリティが伴ったものかがわかる。

ストーリーもテンポ良く、
700㌻の大作なのに飽きずに読めた。
途中にはさまれる
アユミからのEメールや
森介の日記が緩急をつけ、
全体としてとてもまとまってる感じだ。

勧められてから
読むまで間があいてしまって
ごめんなさいでした。

池澤夏樹恐るべし。

世界文学全集を購入することを
固く決意するのでありましたw

ではでは☆
# by kaworu777jp | 2008-01-27 20:01 | 小説